ノートは取り上げない。保護者とコーチが、サッカーノートとどう関わるべきか
前回、「サッカーノート活用術」第4回では、試合をデータで振り返る方法について紹介しました。ここまでは、選手本人がどう書くかという話が中心でした。
今回は少し視点を変えて、まわりの大人、つまり保護者やコーチが、サッカーノートにどう関わるべきかについて書きます。私自身、40年選手をやってきた立場と、今は親・コーチとしてグラウンドに立つ立場、両方の経験から感じていることです。
「見せて」と言った瞬間に、ノートは書かなくなる
これは自分の子どもを見ていて、はっきり実感したことです。良かれと思って「今日は何を書いたの?見せて」と聞いた瞬間、子どもの表情が明らかに変わりました。
ノートというのは、本来「自分のための」振り返りです。誰かに見られる前提になった瞬間、正直な言葉ではなく、見せても良い言葉を書くようになります。これでは、第1回で紹介した「言語化による振り返り効果」がほとんど失われてしまいます。
保護者としては、成長を見守りたい、力になりたいという気持ちから覗きたくなるのは、よく分かります。ただ、ノートの中身に踏み込むことと、成長を見守ることは、実は別のことです。
大人ができるのは「問いかけ」まで
ノートの中身を見る代わりに、私が意識しているのは、練習や試合の後に、軽い問いかけをすることです。

「今日一番良かったプレーは?」「次はどこを試したい?」
大事なのは、答えを評価しないことです。「それはまだまだだね」「もっとこうすべきだよ」とコメントを挟んだ瞬間、子どもは正直に話さなくなります。問いかけたら、ただ聞く。それだけで十分です。
面白いのは、ノートを書く習慣がついている子ほど、こうした問いかけへの答えが具体的になることです。第1回でも触れましたが、書く習慣があると、聞かれる前から自分の中で言葉が整理されているからです。送迎中の何気ない会話が、いつの間にか振り返りの時間になっている。これは、ノートの中身を見なくても得られる、大人にとっての一番の収穫だと思います。
コーチとしての関わり方
コーチという立場からも、少し触れておきます。私自身、指導する側に立つこともありますが、ノートを提出させて評価する、という形にはしていません。理由は保護者の場合と同じで、評価されると分かった瞬間、選手は本音を書かなくなるからです。
その代わり、選手が自分から「ここが分からない」「これを試したい」と言ってきたときに、そのノートの内容をきっかけに会話をするようにしています。ノートを起点に、選手側から話しかけてくる関係を作れると、指導の質そのものが変わってきます。
futbozuNoteでは、共有するかどうかを選手が決められるようにしています
サッカーノートアプリ「futbozuNote」を作るときにも、この「見せない自由」を大事にしました。
- 基本の記録は選手本人だけが見られる、非公開の状態
- 保護者やコーチと共有したい記録だけ、選手が選んで共有できる
- 共有された側は、コメントは残せても、記録そのものは編集できない
大人が覗き見る仕組みではなく、選手が「これは話したい」と思ったときに開ける仕組みにしています。ノートを取り上げるのではなく、選手が自分の意思で開く。そのくらいの距離感が、一番長続きすると感じています。
次回予告:3ヶ月続けて分かったこと
いよいよ次回が最終回です。実際にこのシリーズで紹介してきた書き方を3ヶ月続けてみて、何が変わったのか。自分自身の記録をもとに、率直に振り返ってみようと思います。






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